佐藤航陽氏著「お金2.0」に学ぶ、これからのお金ルール




 

 

 

ブログで以前に書いた「未来に先回りする思考法」の著者であり、「タイムバンク」アプリを作った方、佐藤航陽氏がお金について書いた本、それが「お金2.0」です。

 

本書では、「新しい経済の歩き方」について紹介されています。

最近では、仮想通貨が大きな話題になっておりますが、もちろんこの仮想通貨についても触れています。

実際に、佐藤氏はツイッターでコメントしていますが、年齢によっても内容の理解度は違うだろうと思います。

また、本書を読むにあたっては、仮想通貨を原理をある程度理解してから読むことをオススメいたします。

 

 

 

第1章 お金の正体

第2章 テクノロジーが変えるお金の形

第3章 価値主義とは

第4章 「お金」から解放される生き方

第5章 加速する人類の進化

 

以上の流れでお金について明らかにしていきます。

これから、時代の流れは大きく動き、それとともに経済のあり方も時代に沿って変わっていくことは間違いありません。

人生100歳時代を生きるこれからの時代の人にとって必読の書だと思います。

それでは、内容についてまとめていきます。

 

お金の正体とは?

 

これからの経済の流れを学ぶためには、そもそも「お金」というものがどういったものなのかを知っておく必要があります。

「Fintech(フィンテック)」という言葉をご存知ですか?

financeとtechnologyを組み合わせた造語で、ITなど新たなテクノロジーの進化によって金融の世界が変化することを意味しています。

このFintechですが、本書では2つの意味に区別してあります。

 

Fintech1.0 現在の金融の概念はそのままに、ITを使って効率化すること。

Fintech2.0 近代に作られた金融の枠組み自体を無視し、全くのゼロベースから再構築するタイプのもの。

 

本書ではFintech2.0を扱った内容になっています。

 

そして本書のタイトル「お金2.0」もこの意味で名付けているとのことです。

仮想通貨はまさにこのFintech2.0に当たります。 仮想通貨は2つの意見で分かれます。

  • 金融を変える「革新的なテクノロジー」である。
  • 「詐欺で胡散臭いもの」である。

 

確かに仮想通貨は「通貨」と名前についていますが、私たちが日頃使っているお金とは全く違う仕組みで動いているものです。 よって、この2つを比べることにはあまり意味をなしません。

 

 

「経済システム」の構造

 

私たちは何かを選ぶときに、多くの人が選んでいるものを選びたくなる性質があります。

結果的に、お店にも選ばれる商品が並ぶので、その商品がさらに売れていくという流れができ、売れるものと売れないものの格差が大きくなってしまいます。

さらに、現代では外国の情報がリアルタイムで手に入ります。

アメリが大統領にトランプ氏が選ばれた時には、大きく為替が動きました。   経済は「極端な偏り」と「不安定性と不確実性」があるという特徴があることがわかります。

そして今後経済は「読み解く対象」から「創り上げていく対象」に変化していくこととなります。

「経済システム」(生産活動をうまく回す仕組み)の共通点は次の5つであると佐藤氏は言っています。

 

  • インセンティブ (報酬が明確である)
  • リアルタイム (時間によって変化する)
  • 不確実性 (運と実力)
  • ヒエラルキー (秩序の可視化)
  • コミュニケーション (参加者の交流)

 

こう言った共通点があるシステムであっても、考慮しなければならないものがあります。

 

  • 「寿命」

例えば、Facebookは若者のユーザー離れを想定してワッツアップやインスタグラムの買収を行いました。

ヤフーや楽天も特定のサービスに飽きたら他のサービスに回遊させるような設計がなされています。

さらに外食チェーンはファミレスから中華料理まで様々なレパートリーを増やしています。

 

  • 「共同幻想」により寿命を長くする

参加者全員が同じ思想や価値観を共有していると、システムの寿命は伸びます。

例えば、Appleはかつて欠陥が多いことで有名でしたが、思想や美意識に共感した熱狂的なファンがいたので、ずっと使い続けていてくれました。

普通ならば、不具合が出ることによってリピーターは減りますが、価値観に共感している場合は、多少の失敗が許容され、結果的に利害のみで繋がったシステムより長続きします。

「経済システム」は上記5つの共通点と2つの要素があることによってうまく機能していきます。

 

今話題のビットコインはこの要素が含まれていました。

マイナーや投資家などを利益によって呼び込み、ブロックチェーンなどのテクノロジーで技術者の興味を引き、リバタリアン的な思想によって社会を巻き込んでいます。

 

 

これからの仕組み

 

では、これからの会社はどのような仕組みにすべきなのでしょうか?

 

佐藤氏は、「いかに人々が気持ちよく進んでやる気を持って働ける「環境」を用意できるか、言い換えれば「仕組み」を設計できるかが重要」であるといっています。

 

また、サービスはどのようにしたら良いでしょうか?

 

「ユーザーに熱中して利用してもらえるような商品やサービスを作るには、ユーザーの欲望と向き合う必要があります。

そして製品やサービスを作る人は、その製品を軸に作れる経済圏の設計を考えておく必要があります。」と佐藤氏はいっています。

 

このようなサービスを考えるにあたっては衣食住などの生理的欲求以外の社会的欲求を刺激できる仕組みを導入できないかを考えてみることが重要になってきます。

 

社会的欲求とは、金銭欲求や承認欲求などのことを表します。

 

1.毎日・毎週・毎月変化する企画であること

2.利用者同士コミュニケーションを取る場がある

3.ユーザー間で可視化できる「特別待遇」がある

 

以上の3つを形成することにより、サービスが成長し、ユーザーが得をし、さらなるサービスの向上が見込める「利害の重ね合わせ」を行うことで良いサービスを作り出すことができます。

 

 

テクノロジーが変えるお金のカタチ

 

いま、お金や経済において、最もインパクトのある現状、それが「分散化」です。

今までは「中央集権化」でお金や経済の秩序を保ってきました。

そして、これが最も効率的な仕組みだったのです。

 

しかし、スマートフォンが普及し、リアルタイムで繋がっている状態が当たり前の状況になった今では、中央の代理人を通す必要性はなくなりました。

この流れにおいては、「個人」のサポートをする側に回ることで自らも力をつけるという戦略が有効となってきます。

 

 

シェアリングエコノミー

シェアリングエコノミー(共有経済)で有名なものといえば「Airbnb」「UBER」ですね。

それぞれ、【空家を持っている個人と旅行者】【ドライバーと個人】をつないでいるシステムです。

また、メルカリもシェアリングエコノミーであり、個人で共有しあうことによって、大幅にコストを削減することが可能となります。

これから徐々に始まっていくシェアサイクルも同じですね。

シェアリングエコノミーは「分散化」した経済の成功例となっています。

 

 

トークンエコノミー

トークンエコノミー(ブロックチェーン上で流通する文字列)も「分散化」という大きな流れの中の延長線上に存在するものです。

仮想通貨で使われる言葉ですが、トークンエコノミーは国家がやってきたことの縮小版を、トークンを用いて企業や個人が手軽にできる仕組みです。

トークンの発行者は通過発行益を享受できますが、一方でこのトークンを使った経済圏を、参加者のために最大化し、維持するという義務が発生します。

 

 

「自動化」「分散化」

 

膨大なデータによる「自動化」と「分散化」の流れは、今後10年を考える上で非常に重要となると佐藤氏はいっています。

この2つが混ざった時に起こる「自律分散」というコンセプトが多くのビジネスモデルを覆すことになる可能性があります。

AIとブロックチェーンによって運営される無人のヘッジファンドや無人のコンビニはすでに実施されています。

 

中国では、SNSやスマホの決済に紐づいた信用スコアが存在していて、悪事を働くとこのスコアが下がり、SNSやスマホ決済の利用が凍結される可能性があります。

上記のコンビニにおいてはSNSと決済のアカウントが承認されないと入店できないので、悪事を働くことは「割りに合わない」とされ、犯罪の抑止力となっています。

 

 

経済の民主化

 

テクノロジーによって、経済は「住む」対象ではなく、「作る」対象へと変わりました。

Googleの誕生により、知識は検索すればすぐに手に入るものになり、「物知り」であることに価値はなくなってしまいました。

むしろ、その知識をどのように使いこなすかが重要になってきます。

同様に、「お金」そのものに価値がなくなっていき、どのように経済圏をつくって回していくかというノウハウが重要になってきます。

 

 

価値主義とは

 

消費の量はどんどん減っており、先進国にあっては消費経済は縮小へ向かっています。

ミニマリストが増え、安くていいものが手に入り、車や家は購入しなくても普通に生活できます。

一方で、資産経済は拡大し続けており、金融マネーは投資先を探しています。資金調達が簡単になり、相対的にお金の価値は下がり続けています。

逆に、お金で買えない信頼や時間、個性のようなものの価値は上がってきています。

 

いま、価値を媒介する唯一の手段であった「お金」の独占は終わりつつあります。

例えば、貯金はゼロでもツイッターのフォロワーが100万人いる人が事業をするに当たっては、タイムラインで仲間や知識、クラウドファンディングで資金の調達が可能となってしまいます。

ネットの普及により、自分の価値をどのような方法で保存しておくかを選べるようになってきたような感覚ですね。

 

 

資本主義から価値主義へ

 

これからは可視化された資本ではなく、お金など資本に変換される前の「価値」を中心として世界に変わっていくことが予想できます。

テクノロジーの発展によって、「データ」の価値が認識できるようになり、お金では計上できない「価値」を中心に会社が成長しています。

GoogleやFacebookはその典型ですね。

 

今や精神的な充足や、社会貢献活動などの重要性は若者を中心に高まってきています。

良い大学を出ても一流企業ではなくNPOや社会起業家に専念するのは価値主義的には合理的な判断となります。

 

「価値」を最大化しておくことにより、いつでもその「価値」をお金に変換することができますが、お金は価値を資本主義経済の中で使えるカタチにしたものに過ぎず、価値を媒介する一つの選択肢に過ぎません。

 

内面的な「価値」の可視化と流通

 

ツイッターやインスタグラムなどのSNSを使うことによって、どれくらい人から注目されているかが数値として認識できるようになりました。

内面的な価値も数字のデータとして認識できれば、比較することができ、トークン化することができます。

このような内面的な価値を軸とした経済の例が、「評価経済」や「信用経済」です。

 

しかし、この「評価」や「信用」が「注目」や「感心」に過ぎないと思っている人も多いことと思います。

また、注目や感心のために治安や倫理が犠牲になっていることもあります。

Youtuberに多く見られますが、いき過ぎた行動により視聴回数が増えるもので、炎上と言われるものです。

このようなものが増えてしまうと、世の中がブレーキをかけるようになってしまいます。

 

「営利」と「非営利」、「政治」と「経済」

 

消費者はネットを使ってあらゆる選択肢を比べ、最良の選択を自力で行うことができるようになりました。

そのため、本当に価値のあるサービスを提供しない限りは利益を出しにくくなっています。

利潤のみを追求する事業は消費者に避けられるか、過当競争に巻き込まれることが予想されます。

数十年後には「営利」「非営利」の区別がなくなり「価値」という視点で捉えられるようになります。

 

また、多くの人に価値を提供しようと考えるとビジネスは「公益性」が出てきます。民間企業が政治的な目的を実現しようと思えば、「持続可能性」が求められます。結果、経済と政治の境界線は曖昧になってきます。

 

ベーシックインカムの世界

 

生活するためにお金を稼ぐ必要がなくなった世界においては、お金によって人の行動を変えることはできなくなり、報酬としての機能を失います。

人々の選択肢は大きく変わり、大学や就職先、結婚相手の条件などは今とは違うものになることが予想されます。

 

「経済」の選択

 

ネットが十分普及した世界では、「どれも正しく、人によって正解は違う」という考え方が徐々に受け入れられることが考えられます。

どんな職業につき、誰と結婚し、どんな宗教を信じても、個人の自由であり、全て自分で選んで決めることができるようになっていく、そんな過程にあります。

国家レベルでは試せなかった新しい経済システムが実験され、良い経済が残っていくようになっていくことが予想されます。

様々な形で資産も持ち、それぞれの経済システムにあった方法で支払いをしていくことが考えられます。

このように複数の経済は共存できるようになります。

 

また、複数の経済に居場所があることにより、それぞれの場所で自分の価値があり、一度の失敗でも再チャレンジする場があるという安心感にも繋がります。

 

「価値主義」とは経済の民主化

 

今までの話から、価値主義とは大きな2つの変化が混ざったものであるとまとめることができます。

  • お金や経済の民主化。
  • 資本にならない価値で回る経済の実現。

 

過去の常識が新しい価値観に変わっていき、新しい価値観が常識になったかと思えば、すぐ新しい価値観によって上書きされてしまいます。

今の30歳前後の人たちにとっては車や家、いい時計など高いお金を払う感覚がわからなくなりつつあります。

一方で、50歳前後の人たちにとってはスマホゲームへの課金やライブ配信でも「投げ銭」、ビットコインを買っている人の感覚はよくわからないものだと思います。

 

 

お金から解放される生き方

 

ミレニアル世代(1980年代以降に生まれた世代)は欠けているものがないので、何をモチベーションに頑張ったらいいのかわからない。だから、モチベーションになりうる「意義」や「目的」を創り出そうというのが、Facebook創立者のマークザッカーバーグの主張です。

「意義」や「目的」が価値になりつつあります。

そんなこれから世代にとって世の中は「好きなことに熱中している人ほどうまくいきやすい」ものへと変わっていきます。

 

これからは資本ではなく、価値に着目することによりチャンスが生まれます。

人間の内面的な価値に関しては、現在の資本主義の枠組みでは上の世代が認識しにくいものです。

そこに焦点を絞ることが大切となってきます。

 

内面的な価値が経済を動かすようになると、成功のルールは大きく変わります。

金銭的なリターンを考えるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど結果的に利益を得ることが可能となります。

 

 

この新しい世界で活躍するためには、他人に熱量を持って伝えられるほどのことを探すことが、実は最も近道であると佐藤氏は言います。

この先は「自分の価値を高めておけばなんとでもなる」世界が実現しつつあります。

会社は自分の価値を発揮するたくさんある内のひとつとなり、個人の収入源は1箇所ではなくなります。

 

今までは企業の経営戦略のブランディングのような領域で行うことが個人レベルで必要になります。

  1. スキルや経験といった実用性価値
  2. 共感や行為のような内面的価値
  3. 信頼や人脈のような社会的価値

上記が個人の価値として重要になってきます。

日々の業務の中でも本当に今の活動が自分の価値の上昇につながっているかを常に考える必要があります。

 

 

加速する人類の進化

 

今後、大半の労働は機械に取って代わり、人間はお金や労働から解放されていきます。

ベーシックインカムや巨大企業の生活インフラの無償化、トークンエコノミーなどの経済によって、みんなが必要最低限の生活ができるように変化していきます。

 

VR内では空間は無限にあり、物理的な領土を持っていることの優位性は下がっていきます。

通貨や経済の領域は国家で管理する必要性は少なくなります。

国家の役割は電子化によって代替できてしまえる土台は整いつつあります。

 

国家は今後3つの方向へ変化すると佐藤氏は言います。

  1. グローバルスタンダードを作る
  2. 巨大IT企業が国家のような役割を担う
  3. バーチャル国家が新しいモデルを作る

 

 

宗教と価値主義

IT企業の理念はテクノロジーを使ってより良い世界の実現するというものであり、これはある種の宗教的な考え方と同じです。

経済と政治の境界線が薄れていくように、経済と宗教の境界線も薄れていくことが予想されます。

 

「現実」も選ぶ時代

VR/AR/MR/BMIが発達することにより、「現実」を選択できるようになる可能性が高いと佐藤氏は言います。

自分にとって居心地が良い世界を自分の現実として選択することができるようになります。

不思議な話のように感じますが、今でもネット中心の生活をしている人はもちろんいますし、インスタグラマーの中には髪にカーラーをつけたまま外出し、インスタにアップする写真を撮るときだけカーラーを外す人がいるみたいです。

まさしくインスタの世界を生きているような話ですが、この世界がもっと加速するということですね。

 

 

まとめ

 

非常にボリュームのあるまとめとなりましたが、どの章においても大切な部分が多く、興味深い内容に心惹かれました。

佐藤氏ご本人が言っているように、この本はやはり世代によって感じ方が違うものだと思います。

読んでピンとこない人も上の世代には多くいることも想像できます。

 

大きな話が多い中で、私たちがこれから生活の中で重要になってくるのは「個人のブランディング」の部分ではないかと思います。

若い世代では、情報発信が当たり前である人も大勢いる中で、個人の「価値」を高めることがどれほど難しいことであるかはアラサーの私にとって非常にリアルなものです。

 

お金のあり方が大きく変わり、今後の私たちの生活が「お金2.0」にあるように変化していったとしても、時代の流れに対応していけるよう、本書の内容は常に意識して今後の行動に繋げていきたいと感じています。

 

また、本書と併せて、仮想通貨やブロックチェーンの件や、「モチベーション革命」を一読していただくとより楽しめる内容ではないかと感じました。

 

では。